不動産に関係する住宅ローンや、税金について、簡単にまとめましたので、ご参考いただけると幸いです。
不動産には、さまざまな税金が関与してきます。
ここでご紹介する税金は、マイホームを購入する際や売却する際には、お役に立つだろうと思われる知識です。
主に・・・
・不動産を取得する際にかかる税金
・不動産を所有している間にかかる税金
・売却した場合
・贈与した場合にかかる税金
不動産を扱うには、基本となる知識になるため、頭に入れておいて損はありません。
あらゆる税金がかかりますが、要件を満たせば軽減措置の特例に該当する場合があります。
ただ、軽減措置には期限がありますので、注意が必要です。
住宅ローン控除
- 【住宅ローン控除とは?】
自己の居住用の住宅を新築したり、購入したりした場合、返済期間10年以上の住宅ローンがあること、その他一定の要件を満たすときは、年末の住宅ローンの残高を元に計算した一定額を、その居住の年から10年間(一定の場合には13年間)支払うべき所得税額(住民税)から控除する制度です。また、所得税がすでに源泉徴収されていて控除できないときは所得税の還付をするという制度です。
- 【控除額目安の計算】
控除額=年末ローン残高(※)×0.7%
※年末ローン残高と住宅取得税などの対価の額(住宅取得等資金の贈与の特例の適用額控除後)のいずれかの少ない金額
譲渡所得税
- 【譲渡所得税とは】
不動産を購入した価格より高い価格で売却したとき、その売却益に税金がかかります。
売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。譲渡所得に対しては、給与所得など他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。
また、マイホームについては、特例で譲渡所得税の免除または軽減の特例があります。
なお、譲渡所得がマイナスの場合は、その損失は給与など他の所得と通算することはできません。
しかし、例外的にマイホームに関しては、譲渡損が出た場合、その損失を他の所得と損益通算し、さらに損失がある場合、翌年以降3年間繰り越し控除することができます。
この譲渡所得税の特例は、細かく、たくさんあるため、ここでは簡潔にどんなものがあるのか、をご紹介します。
- 【計算】
【①譲渡所得】= 譲渡収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)
【②課税譲渡所得】= ①譲渡所得 - 特別控除※
【譲渡所得税】= ②課税譲渡所得 × 譲渡所得税率(+復興税)・住民税
※特別控除
●居住用の3,000万円特別控除
●空き家の3,000万特別控除
●土地等の平成21年(2009年)・22年(2010年)取得の1,000万円特別控除
●その他
- 【税率】
- 短期譲渡所得 : 所有期間5年以下の土地・建物
- (居住用)39.63%
- (居住用以外)39.63%
- 長期譲渡所得 : 所有期間5年を超える土地・建物
- (居住用)20.315%
- (居住用以外)20.315%
- 10年超所有軽減税率の特例あり
- (課税譲渡所得6,000万円以下の部分)14.21%
- (課税譲渡所得6,000万円超の部分)20.315%
- 短期譲渡所得 : 所有期間5年以下の土地・建物
贈与税
- 【贈与税とは】
登記の持ち分は、資金を出した割合で登記しなければなりません。
出した資金と相違する登記をした場合、自己の資金以上に登記持ち分のある者は、少ない持ち分を持った者から資金の贈与をされたものとして、贈与税が課税されることになります。
贈与税は、贈与により資産を受けた者に課税されます。
現金はもとより不動産や車などを無償または廉価で譲り受けた場合にも贈与税の対象となります。
- 【贈与される行為】
①お金の受け渡しがないのに財産の名義を変更した場合。
「夫しか資金を出していないのに妻の名義を入れた場合や、親が資金を出しているのに子の名義とした場合など・・・妻や子が贈与を受けたことになる」
②借金を免除してもらった時。
「子が親から借り入れをし、その後返済をしないことにした場合など・・・子が贈与を受けたことになる」
③常識的でない返済条件で、親などから借金したとき。
「無利子やあるとき払いの催促なしなど、一般の銀行・金融機関の返済条件と大幅に違う場合など・・・一般的な金融機関等の条件より有利な経済的利益を受けたことになる。」
④時価よりも著しく低い価格で財産を買い受けたとき。
「親から時価3,000万円のマンションを1,000万円で買い受けた場合等・・・子が2,000万円の贈与を受けたことになる。」
- 【贈与税の計算】
【課税価格】 = 贈与財産価格(※1.※2) - 110万円(基礎控除※3)
【税額】 = 課税価格 × 税率 -控除額
※1.贈与財産価格とは、現預金はその金額、土地建物などの不動産や株等の有価証券は相続税評価額になります。
※2.土地の贈与の場合、相続税評価額計算上の小規模宅地の特例は適用されません。
※3.基礎控除・・・年間110万円以内の贈与は申告不要です。
- 【例】: 兄より建物(評価額600万円)の贈与を受けました。贈与税はいくらでしょうか?
贈与財産評価額 - 基礎控除 × 税率 - 控除額 = 贈与税
600万円 - 110万円 × 30%※ - 65万円※ = 82万円
※税率は一般税率(贈与税速算表)を参照です。
(参照:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
登録免許税
- 【登録免許税とは?】
個人が土地または建物を建築または購入等したときは、所有権保存登記や、移転登記等をします。
また住宅ローンを借りた場合、金融機関はそのマイホームへ抵当権を設定します。
このような登記をする際にかかる税金が登録免許税です。
登記の申請時に納付します。
- 【税率】
- ①新築した場合
(※すべての場合に、下記税率から軽減税率措置があります。要件に該当している必要あり。)
建物:所有権保存登記の場合 (法務局認定価格) × 4/1000
:所有権移転登記の場合 (固定資産税評価額)× 20/1000
土地:所有権移転登記 (固定資産税評価額)× 20/1000
◆抵当権の設定登記 (債権金額) × 4/1000
- ②既存住宅(中古)を取得した場合
(※すべての場合に、下記税率から軽減税率措置があります。要件に該当している必要あり。)
建物:所有権移転登記 (固定資産税評価額) × 20/1000
土地:所有権移転登記 (固定資産税評価額) × 20/1000
抵当権の設定登記 (債権金額) × 4/1000
- ③相続・贈与の場合(※土地の一定の相続登記については登録免許税が免税になります。)
建物・土地:相続の場合 (固定資産税評価額) × 4/1000
:遺贈・贈与の場合 (固定資産税評価額) × 20/1000
- 【登記の種類って何がある?】
・表題登記
建物の新築工事が完了して、建物が完成すると、建物の所在、地番、構造、床面積等を特定する登記を最初に申請します。
この登記を「建物の表題登記」といいます。表題登記に必要な資料を作成する専門家を土地家屋調査士といいます。
・所有権保存登記
登記簿の甲区(所有権に関する登記)に初めてなされる所有権の登記で、所有者の住所・氏名の他、新築の日付等が記載されます。
・所有権移転登記
不動産を売買したときに所有権を売主から買主へ移転しますが、この登記のことを所有権移転登記といいます。
所有権移転の登記をすることで、買主は第三者に対して所有権を主張できる要件を備えることになります。
・抵当権設定登記
抵当権とは、例えば住宅ローンの担保として提供された不動産に設定される権利で、目的物(この場合不動産)の所有者や使用者はそのままにしておいて、住宅ローンが返済されない場合に担保不動産から優先して弁財を受ける権利のことです。
この権利を明らかにするために行うのが「抵当権設定登記」です。
金融機関を抵当権者、住宅ローンの借入者を抵当権設定者といいます。
不動産取得税
- 【不動産取得税とは?】
不動産を売買・贈与で取得したとき、又は建物を新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。
- 【計算式】
原則計算
・不動産取得税 = 課税標準(固定資産税評価額) × 税率
(宅地の特例:2024年3月31日まで)
・宅地の課税標準 = 固定資産税評価額 × 1/2
- 【税率】(2024年3月31日まで)
土地:原則 4% 特例 3%
建物:原則 4% 特例(住宅3%)(住宅以外の建物4%)
※特例・軽減措置あります。
固定資産税
- 【固定資産税・都市計画税とは?】
毎年1月1日時点のマイホームなど不動産の所有者に課税されます。
市町村(特別区は「都」以下同じ)が、不動産等の評価(固定資産税評価額という)をし、税額を計算し、納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。納税は一括でも、年4回の分割にすることができます。
固定資産税評価額は3年に1回見直すことになっています。
住宅用地と新築住宅については、課税標準や税額の軽減措置があります。
軽減は、納税者が特に申請しなくても市町村が手続きをとってくれます。
- 【税金計算】
固定資産税 課税標準 × 1.4%
都市計画税 課税標準 × 0.3%
※ 税率%については市町村に異なるが、上記の税率を採用している市町村が大半です。
印紙税
- 【印紙税とは?】
マイホームを購入する時の税金です。契約書、受領書に必要です。
消費税
- 【消費税とは?】
消費税は、商品を買ったりサービスを受けたりしたときにその対価の10%(食料品等は8%)を消費者が負担する間接税です。消費税は、生産や流通のそれぞれの段階で、商品や製品が販売される都度、その販売価格に対してかかります。事業者は受け取った消費税から、支払った消費税を控除して差額を納税します。
不動産の場合では、課税取引と非課税取引があります。
- 【課税取引】
- 建物売買代金
- 土地の造成整地費用等、建築工事やリフォーム工事などの請負工事費用
- 司法書士手数料、土地家屋調査士手数料
- 融資事務手数料
- 事務所・店舗の家賃、駐車場の賃料
- 【非課税取引】
- 土地売買代金(地上権、土地の賃借権、地役権等を含み、温泉利用権は含まない)
- 売主が個人のマイホーム、個人事業者のマイホーム
- 不動産取得税
- 登録免許税、登記事項証明書
- ローン返済金、保証会社への保証料、借入金金利、団体生命保険の保険料、金銭消費貸借契約書印紙
- 土地の地代、保証金、家賃(居住用)、敷金
- 固定資産税・都市計画税、火災保険料・地震保険料、マンションの管理組合管理費・修繕積立金、マンション管理組合が管理するマンション内駐車場賃料
まとめ
ここまで簡単に記載していきましたが、不動産に関する税金が多いことに改めて驚かされました。
また軽減措置の特例があったり、その特例には期限があったり等など複雑です。
不動産に関する税金は、大きな金額になることが多いため、不動産を扱う際は近くの不動産会社や税理士等にご相談することをお勧めします。
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